イングランド代表対アンドラ代表戦、戦術分析____苦闘の末の2-0、その内実を探る

国際戦レポート
【イングランド×アンドラ|ハイライト】FIFAワールドカップ2026 欧州予選グループK 第5節 2025
【DAZNは無料でライブやハイライト、番組も楽しめる!】視聴はこちら⏩️🏆ワールドカップ欧州予選グループK 第5節🆚 イングランド 2-0 アンドラ⚽️1-0 (25’) オウンゴール2-0 (67’)ライス#イングランド #アンドラ#DAZN #サッカー #W杯欧州予選 ...

はじめに____数字に現れた「圧倒」と「停滞」

2025年9月6日、ワールドカップ予選の第4戦でイングランド代表はホームのヴィラ・パークでアンドラと対戦し、2-0で勝利を収めました。スコアだけを見れば順当な結果ですが、内容は必ずしも快勝とは言えませんでした。

イングランドは約83%のポゼッションを記録し、シュート数も11対2と圧倒しました。しかし前半は決定機を作りきれず、ようやく後半にオウンゴールとデクラン・ライスのヘディングで2点を奪うにとどまりました。

この試合に関して本ブログでは分析していきます!!!

イングランドの攻撃構造

ここからはイングランドの「停滞」を産んだ戦術について見ていきましょう。

右サイドに偏った展開

この試合で顕著だったのは攻撃方向の偏りです。データによれば攻撃の43%が右サイド経由で行われており(Flashscore)、ノニ・マドゥエケやリース・ジェームズを軸にした右からの突破が中心でした。

実際、先制点はマドゥエケのクロスが相手DFガルシアに当たってオウンゴールとなった場面、追加点はジェームズのクロスをライスが頭で合わせた場面で、いずれも右サイドが起点となっていました。

一方の左サイドではラッシュフォードや、ゴードンが孤立する時間帯が多く、左右のバランスを欠いていました。

イングランドは基本的に4-3-3を採用しつつ、ビルドアップを模索していましたが、アンドラが5-4-1フォーメーションで自陣深くを固めたため、数的優位は作れても縦パスのコースは塞がれ、横パスや後方での回しに終始する場面が目立ちました。

その結果、「ボールは支配しているが、主導権は握れていない」という状態に陥ったのです。

5-4-1の徹底したロー・ブロック

それではここからはアンドラの戦術についても分析していきます。

アンドラは序盤から5バックを採用し、最前線の1枚も中盤に吸収するような形で4枚を並べて守備ブロックを構築しました。エリア周辺には常に7~8人を置き、イングランドに決定的なスペースを与えませんでした。

また彼らは無理に奪いに出ることを避け、ポジション維持を最優先しました。そのためイングランドの前線は窮屈なプレーを強いられ、ボール保持と崩しの間に大きなギャップが生じました。

戦術ファウルと時間の消費

中盤でこまめにファウルを用いて試合のテンポを分断し、イングランドのリズムを削いだ点も見逃せません。これにより前半は特に停滞感が強く、観客席からも不満の声が漏れる場面がありました。

試合を動かした2つの場面

以上のようにアンドラの徹底したテンポ崩しにより停滞を意図して生み出されてしまったイングランド代表がここから勝利を掴み取った理由について深掘りしていきます。

オウンゴールで均衡を破る

前半25分、右サイドのマドゥエケが仕掛けたクロスがガルシアに当たり、オウンゴールとなりました。これは崩しの形から生まれたというより、相手の対応ミスを誘った偶発的な得点でした。

デクラン・ライスの一撃

後半67分にはリース・ジェームズの正確なクロスからライスがヘディングで決め、2-0と突き放しました。これも右サイドの質的優位を生かしたものであり、攻撃方向の偏重がそのまま得点に結びついた形でした。

試合後評価

ロングボールとスローインの導入

試合後、トゥヘル監督は「長いスローインやロングボールも選択肢として取り入れるべきだ」と語りました。実際この試合では流れの中から決定的な形を作るのに苦戦し、クロスやセットプレーでしか得点の気配を感じさせませんでした。指揮官の言葉はその現実を端的に表していると言えます。

新戦力の起用と課題

エリオット・アンダーソンがA代表デビューを果たし、中盤に新しいリズムを与えた点はポジティブでした。しかし全体としては「パターン化された崩し」が不足し、個人の突破やクロス頼みの色が濃かったのも事実です。

総合評価:勝利の中に潜む課題

イングランドはこれで予選4連勝としましたが、上記のように試合内容を分析すると以下の課題が浮かび上がります。

右サイド偏重 ― 攻撃の43%が右サイド経由、左サイドは機能不全。

中央の停滞 ― ベリンガムやライスが持っても縦パスの選択肢が少なく、攻撃が横へ流れがち。

偶発性の強いゴール ― 2得点はいずれも右サイドからのクロスやオウンゴールで、オープンプレーからの崩しは皆無。

このままではW杯本戦で激突するであろう強豪相手に苦戦は必至でしょう。

今後への展望

イングランドが次の段階に進むためには、多様な攻撃パターンを織り込む必要があります。

クロスの質とバリエーションの向上、セットプレーの強化、ロングスローやロングボールの活用、中盤と前線の距離感改善。

こうした要素を積み重ねて初めて、単なる「支配」から「決定力ある主導」へと進化できるでしょう!!!

タイトルとURLをコピーしました