プレミアリーグ第4節、ブライトンがマンチェスター・シティを相手に2-1で逆転勝利を収めた一戦は、多くの戦術的な要素が詰まった試合でした。その中で大きな存在感を放ったのが、やはり日本代表の三笘薫。
彼は結果的にアシストを記録しましたが、この試合での彼の存在は単なるアシスト役ではなく、試合全体の流れを変えるキープレーヤーとして機能していました。本記事では、その役割を戦術とデータの両面から掘り下げます。
ハイライトはこちら
左ウイングからのポジショニングで生まれた“背後の脅威”
ブライトンは基本的に 4-2-3-1 の布陣で試合を開始。三笘は左ウイングとしてピッチに立ちました。
彼の特徴は、ただサイドに張るのではなく、ハーフスペースに斜めに入り込む動きを繰り返したことです。
マンチェスター・シティは3バックでビルドアップを志向しましたが、三笘が相手の右CBと右WBの間にポジションを取ることで、常に「背後の脅威」となり続けました。その結果、シティの右サイドは高い位置を取りにくくなり、前半以降の攻撃は制限されることとなりました。
交代後に見せた“スイッチ” ― サイドから中央へ
試合の大きな転換点は後半15分、ヒュルツェラー監督が敢行した4人同時交代でした。この瞬間、ブライトンの布陣は 4-2-3-1から4-4-2寄りへと変化。
これにより三笘の役割も変わります。サイドに張るだけでなく、2トップ的な動きを見せるようになり、カウンター時には縦関係で前線と連動。特に決勝点の場面では、左サイドでボールを引き出した後に中央へ侵入し、FWと並走する形で「カウンターの加速装置」となりました。戦術的な柔軟性を見せた瞬間です。
データが語る三笘の存在感
公開されたスタッツを整理すると、三笘のプレーが数字にも反映されています。
シュート数:2本(うち1本は枠内、GKに阻まれる)
チャンスクリエイト:2回(そのうち1回が決勝点のアシスト)
ドリブル成功数:3回(チーム最多)
タッチ数:シティ右サイド深い位置でのタッチが増加
これらは「自らゴールを狙う力」と「味方に決定機を供給する力」を兼ね備えていた証拠です。特に後半のドリブル突破は、シティ守備を切り裂き、ブライトンが放った11本のシュートに直結しました。
シティに与えた戦術的ダメージ
三笘の存在は、相手の戦術にも明確な影響を及ぼしました。シティは後半、右サイドを中心に守備を固めましたが、三笘に対抗するためには常に複数人で対応せざるを得ませんでした。
その結果、中盤のプレス強度が落ち、セカンドボールを拾う回数が減少。データ上も後半のボール支配率は前半よりも上昇しています。言い換えれば、三笘は「シティの守備ブロックを横に広げ、中盤を手薄にさせた」存在だったのです。
まとめ ― 三笘薫は戦術の“軸”へ
この試合の三笘を振り返ると、彼の貢献はアシスト一つにとどまりませんでした。
ポジショニングでシティ守備を広げる カウンターで加速装置となる データに裏付けられた攻撃面での圧倒的存在感 相手のプランを狂わせ、中盤を支配するきっかけを作る
こうした複数の要素を兼ね備え、三笘は戦術的な“軸”として機能しました。彼の存在があったからこそ、ブライトンはシティを相手に逆転勝利を収めることができたと言えるでしょう。