今季、日本代表でもある鎌田大地選手も所属しているプレミアリーグのクリスタル・パレスへと移籍したジェレミ・ピノ選手
ラ・リーガを普段からチェックしているファンにはすでに知られた存在ですが、プレミアリーグにやって来ることで、これまで彼のプレースタイルや人柄をよく知らなかった人々にとっては新鮮な発見となるでしょう。
今回は彼について紹介していきます!!!
クラブキャリア(ユース〜欧州まで)
○2014–2017:UDラス・パルマス(ユース)
○2017–2019:ビジャレアル(カンテラ/下部組織)
○2019–2020:ビジャレアルC(20試合3得点) ○2020–2021:ビジャレアルB(4試合1得点) ○2020–2025:ビジャレアル(ラ・リーガ) 通算:リーグ134試合23得点
・2021年:UEFAヨーロッパリーグ優勝(決勝先発、当時18歳で最年少優勝記録)
・2022年:ラ・リーガで1試合4得点(対エスパニョール戦) この試合のハイライトはこちら↓

・2023年11月:左膝前十字靱帯断裂で長期離脱
○2025年8月:クリスタルパレス(プレミアリーグ)に完全移籍(移籍金は報道では約£26m、5年契約/背番号10)
豆知識____幼少期に刻まれた「壁」と「父の声」
カナリア諸島ラス・パルマスの街角で育ったイェレミ・ピノ。彼のプレースタイルを形づくったのは、煌びやかなアカデミーのグラウンドではなく、家の裏にあったただの壁でした。
父カルメロさんと共に、その壁に何度もボールを蹴り返す日々。単調に見える反復練習は、ピノの足元に規律と精密なタッチを刻み込み、やがて世界に名を馳せる才能の土台となっていきます。
ラス・パルマスの子供たちと夢中で繰り広げたストリートサッカーもまた、彼の武器を磨く舞台でした。路地裏での即興的なプレーは、彼の俊敏なドリブルと独創性を養い、プロの舞台でも通用する感覚へと昇華していきました。
父カルメロさんは、単なる練習相手にとどまりません。幼き日のピノにとっては“非公式のコーチ”であり、精神的な支柱でした。試合中、ふと耳の奥に響く「父の声」が、いまも彼を鼓舞するといわれています。それはピノにとって、原点を思い出させる大切な内なる指針なのでしょう。
父だけでなく、母ニー・サントスさんもまた、陰ながら彼を支えてきた存在です。家族の献身があったからこそ、ラス・パルマスの路地裏で芽生えた夢が、ビジャレアルの栄光、そしてプレミアリーグ挑戦へとつながったのです。
ピノの物語は、華やかなスタジアムの照明よりも先に、家の裏壁と両親の愛情に照らされて始まっていました。そのルーツを知ると、彼の一歩一歩がどれほど温かい支えに導かれてきたかが見えてきます。
ジェレミ・ピノ――スピードと規律を兼ね備える万能ウイング
彼は単なる快速アタッカーにとどまらず、幅広い戦術的適性を備えている選手です。ここでは、そのプレースタイルや役割について整理してみたいと思います。
両翼を自在に操る「逆足型」アタッカー
ピノ選手は右利きですが、右サイドだけでなく左でも違和感なくプレーできます。左に入ればインバーテッドウイングとして内側に切り込み、右足でのシュートやラストパスを狙います。右に配置されればタッチライン際で幅を取り、縦突破からシンプルに仕掛けることが可能です。監督にとっては、相手守備の弱点に応じて柔軟に配置を変えられる「戦術カード」として重宝される存在です。
緩急とリズムで相手ブロックを崩す
彼の最大の武器はやはりドリブルです。ボールタッチは派手ではありませんが、相手の動きをじっくり観察し、スピードの緩急や細かいステップでバランスを崩します。瞬発的な加速で相手を置き去りにする場面も多く、「数的不利でも個人で打開できるウイング」という評価を受けています。特に1対1の場面では、相手DFにとって常に警戒すべき存在です。
創造性とチャンスメイク
単に仕掛けて終わるタイプではありません。ピノ選手は味方を生かすパスセンスも兼ね備えています。ペナルティエリア周辺でのラストパスやスルーパスは意外性に富み、スタッツ上でも「チャンス創出数」(2.81回/90分)(引用:statmuse.com)が高く評価されています。味方ストライカーに得点機を供給できる「プレーメイキング・ウイング」としての側面が、彼を特別な存在にしています。
攻守のバランスの核にもなれる現代型ウイング
攻撃的な印象が強い一方で、守備への献身も見逃せません。相手SBへのプレスバックやブロック形成時のポジショニングも怠らず、戦術的な規律を守れるタイプです。これは若手ウインガーとしては珍しい資質であり、監督から信頼を得る理由のひとつといえます。さらに、身長は高くないものの空中戦に意外な強さ(34%)(引用:footmob)を発揮することもあり、攻守で幅広く貢献できる選手です。
改善が求められるポイント
課題もについては、まずクロスの精度はまだ改善の余地があります。サイドからのクロスが単調になり、決定的な場面につながらないことも少なくありません。また、試合中に感情をコントロールしきれない瞬間があり、規律面で警告を受けるシーンが見られます。今後プレミアリーグの厳しい環境で安定感を高められるかどうかが、次のステップへのカギになるでしょう。
戦術的役割についてのまとめ
ジェレミ・ピノ選手は、俊敏なドリブル、チャンスメイク、そして守備への献身を併せ持つ「万能ウイング」としてプレミアリーグに挑んでいます。クロスの精度やメンタル面に課題はあるものの、21歳という若さを考えれば成長の余地は計り知れません。クリスタル・パレスが彼を中心にどのような攻撃を構築していくのか、今後のシーズンは大きな注目を集めることになるでしょう。
まとめ
クリスタルパレスは2季連続でマイケル・オリーゼ、エヴェレチ・エゼと攻撃の核を放出し、今季の躍進には疑問点が残されています。鎌田選手らの中心選手は未だ残されていますがそれでも戦力の上澄みという点ではこのジェレミ・ピノ選手にかかる期待はとても大きなものとなるでしょう。
プレミアリーグと欧州大会両コンペティションでの躍進に彼がどこまで関与できるか注目しましょう!!!

